青蓮華
一座の護摩供には、たくさんの 「 シキミ 」 の葉っぱを使います。そのカタチはツバキの葉っぱを鋭くしたようで、葉を折ると、香気がひろがります。火中に投じると、パチパチと小気味の良い音がします。ここで用いるシキミは 「 青蓮華 」 の代用品です。
青い蓮華として 「 ムラサキスイレン 」 や 「 ミズイロスイレン 」 などがよく知られています。
ミズイロスイレン
アフリカ中部、北部、特にエジプトに分布する。葉は大きく革質、表面は光沢のある暗緑色。午後七時から午後四時まで四?五時間開花する。花弁は十四枚?二十枚、淡青色である。
ムラサキスイレン
インド、東南アジアに産する。茎は二.五メートルにも達し、鼻の大きさは中程度で、色は淡青。時に赤紫色のものも見られる。
(『仏教植物五十選』p.125)
いずれにせよ、青蓮華はなかなか手に入らないので、その代わりとして、年がら年中、青々と茂っているシキミを用います。境内に大きな木が3本、その子や孫たちが10本程度あります。それでも葉っぱが足らず、シキミが新芽をつける頃、その育成を待って、その、また代用として、ある花を使っています。それはいずれまた‥
毎日、なにげなく使っているシキミも、なんとびっくり、天竺伝来だそうです。代用品もはるばるインドからやって来たようです。はじめて、これをインドから日本に輸入したのは、鑑真 (ガンジン) 和上だそうです。
眞俗佛事編二に、鑑眞和上その實を天竺より将来し、その形天竺無熱池の青蓮華に似たるより佛前の供物用となせりと云ふ。( 『 密教大辞典 』 p.921 )
境内に生えているシキミは、そろそろ開花の季節を迎えます。淡い黄色を帯びた小さな花を咲かせます。葉っぱ同様、花にも独特の香気があります。青蓮華はどんな香りでしょうか?
高野山では、一面器にシキミの葉っぱを14枚盛りつけて荘厳しますが、その数はミズイロスイレンの花弁の数と関係があるのでしょうか?
ともあれ、密教空間を荘厳する小道具たちは、いずれも、どれもこれも、エキゾチックで、オシャレなものばかり。密教修法は、あたかも美の祭典です。毎日、ワクワクさせてくれます!!





しきびの葉っぱがありがたいスバラシイモノに見えてくれば、極楽浄土はちかいですね。あの世でお金に変わると言ってたくさん山盛りでおまつりする人もいますが、葉っぱがお金に見えるようではタヌキかキツネにばかされています。フフフ・・・
一坐の護摩供には、どれほどたくさんの命を供えて祈るのでしょうか。護摩の坐を重ねるにつれ、何かひとつながりの大いなる命の存在を感じざるを得ません。
シキミの大木に「お願いします」と言って、ハシゴをそっとかけ、「いただきます」と、小枝にハサミを入れ、「ごめんね」と、地面に落とした小枝を拾い集め、バケツに入れて「ありがとう」。花が咲き始める今頃と新緑の季節は、どうしても、こんなつぶやきが増えてしまいます。おかしいですね。
小枝を切り落とすとき、将来を見越してハサミを入れます。とりやすい新芽ばかりを摘むと、翌年、その枝からは二度と芽を出すことなく、黒い棒のようになって枯れていきます。
15年間、私の護摩供を支えてくれたシキミに感謝しています。これからもずっとお世話になるでしょう。私にとって、シキミはかけがえのないパートナーです。