三鈷投擲
2010 年 1 月 24 日
むかしばなしです。
あれは、思い起こせば、16年前、私が高野山金剛峯寺大伽藍に奉職していたときのことです。
御影堂の階段を掃除していたとき、外国人数名が私に話しかけてきました。会話は日本語でした。
男:「あなたは、弘法大師が中国から三鈷杵を投げたという話を知ってますか?」
私:「はい」
男:「それが、この松にかかっていたということを信じていますか?」
私:「はい、そのように聞いています」
男:「信じてますか?」
私:「よくわかりません」
男:「あなた、坊さんでしょ。なぜ、こんな大切なことを信じていないんですか!」
私:「…」
男:「ハチソン効果を知っていますか?」
私:「はい、宙に浮かんだり、テレポートのような..」
男:「そうです。お大師さんのなされたことを、今、私たち科学者が研究しています。
あなたがた僧侶は、弘法大師を信仰し、その教えを受け継いでゆかねばなりません」
・・・・・
辛うじて「ハチソン効果」は知っていたけれど、十分な答えが用意できず、とても残念な思いをしました。まさか、見ず知らずの外国人から、いきなり弘法大師の 「三鈷投擲」 を問われるとは… しかも、三鈷の松がそびえる御影堂の前で…
彼らの話をまとめると、- 空海さんの「三鈷投擲」は、ハチソン効果に似通うものかもしれない。
偉大な宗教者でありながら、当時の最先端の科学にも精通していた人であったように思う。それについて、あなたはどう思うか。 - また、そういったことを、弘法大師の弟子である現代の僧侶は、どのように受けとめているのか。
- 高野山開創に関わる一大事を伝承として、かたずけてしまってよいのか。
あのとき以来、私の頭の片隅に「飛行三鈷」が引っかかったまま、今に至っています。
今にして思えば、ひょっとすると、彼らは、ジョン・ハチソンその人、もしくは、その関係者であったかもしれません。今となっては知るよしもありません。
このようなトンデモ話しに興味をもたれた方は、彼のウェブサイト The Hutchison Effect – Home を訪ねてみてください。ハチソン効果の動画がダウンロードできます。
聞くところによると、ハチソン効果は、カナダの自称発明家のジョン・ハチソンが1979年に発表した反重力物体浮遊などの現象で、その実態については、今も議論が続けられています。真偽のほどは定かではありません。眉唾かもしれません。
さて、それはそれとして、
「三鈷投擲」のお話しは、弘法大師の伝承をまとめた最古の絵巻『高野大師行状図画(重要文化財・高野山地蔵院、鎌倉時代)』にも掲載されています。
そのシーンはあまりにも有名です。空海さんの手から三鈷杵が離れる、ドラマチックな瞬間が描かれています。
ここは明州(寧波=ニンポー)の港です。密教のすべてを習い、帰国することになった空海さんを見送るため、多くの人々が駆けつけています。
空海さんは、やおらふところから三鈷杵を取り出し、
「密教を広めるにふさわしいところがあれば、教えたまえ」
と、祈念して、東の空に投げあげました。
投げられた三鈷杵は、紫色の雲に乗ってどんどん飛んで行きました。
帰国後、弘仁九年(818)から高野山に登られた空海さんは、一本の松に三鈷杵がかかっているのをみつけます。
それを見た空海さんは、この地(高野山)が密教相応の地であることを知り、伽藍を建立したいと、天皇にお願いされます。
みなさん、よくご存じの高野山開創にまつわる 「三鈷の松」 のお話しです。この三鈷杵は現存し、「飛行三鈷(重要文化財)」と名づけられ、高野山霊宝館に保管されています。
『高野大師行状図画』には、松にかかっている三鈷杵を見上げる空海さんと、伽藍を建てるスペースを確保するために原生林を切り開く男たちの姿が描かれています。↑
平成27年、高野山では「高野山開創1200年記念大法会」が厳修されます。
今一度、弘法大師の三鈷投擲の不思議を自分自身に問いかけたいと思います。






今では懐かしい?時に入りますでしょうか?わたくしにとってはとても楽しかった思い出の場所。
今年はゆっくり訪れてみたいと、思っております・・・高野山。
三本の松見つかるかしら・・・。
「高野山開創1200年記念大法会」とは、どんな事がとり行われるのですか?
良かったらお聞かせください。宜しくお願致します。
「医者の不養生。坊主の不信心。」
「阿弥陀も金で光る。」
お大師様の超能力、信じましょう!
高僧方の言い伝えを、疑う余地はありません。。