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被災地の医療と宗教 討論

2011 年 9 月 14 日

高野山医療フォーラム

被災地の医療と宗教 討論

遺族ケアの事例も

 

「いま、問われる命と心の絆」をテーマとする第8回「21世紀高野山医療フォーラムー生と死が手を結ぶにはー」(主催=同フォーラム・高野山大学)が8月27日、江東区の東京ビッグサイトで開催され、約700人が参加した。被災地での医療と宗教のあり方が話し合われた。

被災地の医療と宗教 討論

被災地の医療と宗教 討論



高野山足湯隊として宮城県南三陸町で活動する僧侶の辻雅榮氏は、相手の足を丁寧に洗う足湯を通じた傾聴ボランティアについて報告。「体が温まれば心も温まる。それから困っていることを聞く。必要に応じて各支援の専門家につなぐ」と説明し、ある被災女性から「家もないけど、あんたに足を洗ってもらって心の戸口がぱっと開いた思いがする」と言われたことが活動の原動力になっていると語った。

宮城県で在宅緩和ケアを行う医師の岡部健氏は「医療だけでは闇(死)へ下りていく道標が見えない。在宅死の現場に医療者しかいないのはおかしい」と強調し、医療と宗教の壁を取り払ったチーム医療の必要性に言及。「特定の宗教ではなく超宗派であれば」可能との認識を示した。

大震災では「発見された時には、すでに亡くなっている人が多かった。医療の限界を痛感させられた」と吐露し、遺族ケアにあたる現地の宗教者の活動を説明。宗教儀礼が最愛の人を失なった被災者の気持ちを落ち着かせ手いる事実を指摘し、患者を津波から守りながら自身は犠牲になった看護師を追想して「宗教性を持ったいのち」のあり方を述べた。

シンポジウム「危機の時代の問われる日本人の価値観、死生観」では、宗教者の山折哲雄氏が「我々は死者との絆を回復しない限り、心のトラウマから立ち直ることは難しいのではないか」と提起。岡部氏はこれを受け、「東北の人たちは魂の行き場を知っている。亡くなった人の魂は、自分たちの非常に近いところにいる感覚を持っている」と述べた。

宗教者災害支援連絡会代表で東京大学教授の島薗進氏は、これからの被災地支援と震災前に盛んに議論されていた「無縁社会」に言及。「伝統的な絆が壊れた仮設住宅は都市部と似ている。”孤立”が’懸念される」と憂慮した。

ノンフィクション作家でシンポジウムの司会の柳田邦男氏は、「仏教者が社会に打って出ていく姿が見られるようになり、その役割が重要になっている」と期待した。

藤田光寛・高野山大学学長は、医療分野や被災地支援での宗教者の役割を総括した上で、宗教・宗派を超えて活動できる人材の育成に意欲を見せた。

 

(『週間仏教タイムス』第2457号 2011年9月8日)

 

21世紀 高野山 医療フォーラム

2011年8月27日「21世紀高野山医療フォーラム」を東京ビックサイトにおいて開催しました。第8回となる今回は、「いま、問われる命と心の絆」をテーマに講演ならびにシンポジウムが行なわれ、700名以上の方が来聴されました。
未曾有の被害をもたらした東日本大震災、この震災における宗教者・医療者の活動と、これからのあり方について、様々な角度から話し合われました。

【プログラム】

◆開会挨拶
松長有慶 高野山真言宗管長
庄野光昭 高野山真言宗宗務総長

◆基調講演
仏教思想にみる他者への思いやり
藤田光寛 高野山大学長

◆特別講演1
死の臨床 新たな課題と展望
柏木哲夫 金城学院大学学長・死の臨床研究会前代表
◆特別講演2
死生学と悲しみから生まれる力
島薗 進 東京大学大学院人文社会系教授・宗教者災害支援連絡会代表
◆報告1 大震災と宗教者
仏足頂礼 高野山足湯隊
-被災地における傾聴ボランティア-
辻 雅榮 宝泉寺住職

◆報告2 大震災と医療者
人みな被災者 ―深層の宗教心に触れて―
岡部 健 医療法人社団爽秋会 理事長

◆シンポジウム
危機の時代に問われる日本人の価値観、死生観
司会 柳田邦男 作家・理事長 / 山折哲雄 宗教学者
岡部 健・島薗 進・辻 雅榮・藤田 光寛

◆閉会挨拶
藤田光寛 高野山大学長

◆ワークショップ
絆をつなぐ瞑想的エクササイズ
井上ウィマラ 高野山大学准教授

◆ワークショップ
命と心と体のつながり …主体性を観じる
―臨床動作法の視点から―
森崎雅好 高野山大学助教

高野山大学

 
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