「汚れたら、本望です。」
とおっしゃって、お信者さんが、真っ白な草履を下さった。さらしで作ってくれたのだ。
摩利支尊天を祈って、人生の土壇場を乗り越えてきたお信者さんからのプレゼントだ。
護摩の油煙で、本堂の天井も壁も床も、私の草履も衣も、真っ黒だ。
「汚れたら、本望です。」その一言に、ジンときた。

藺草履(新・旧)
こころある人が、行者の足元をみまもって下さっている。私の足元を照らして下さっている。それを思うと、無性にうれしい。まこと、行者冥利に尽きるのだ。
お信者さんに支えられて、そのおかげで、私は護摩を続けさせてもらっている。この道場で、祈り、祈られ、ともに、苦難の人生を乗り越えていこうと思う。
私は、ここで護摩供を修法するために生まれてきた。
護摩の光に活かされながら、檀信徒を照らし続けていくのだ。
人が自心に目覚めていく、その過程を照らし続けていくのだ。
それが、私の使命だ。これが、護摩という生き方だ。
密教では、ある目的に対して特定のご本尊を祀って、それにふさわしい印言を結誦し、定められた作法に従ってご本尊をイメージする観想法を「修法」といいます。いわゆる「ご祈祷」です。後七日御修法のように国家的規模のものから、個人的な目的のためにおこなうものまでいろいろあります。
護摩供を目的別に区分すれば、息災(そくさい)・増益(そうやく)・敬愛(けいあい)・降伏(ごうぶく)の四種法があります。
- 息災法 — 災害苦難、煩悩罪業をのぞく。
- 増益法 — 幸福増進、福徳、繁栄を願う。
- 敬愛法 — 和合、親睦を願う。求愛。
- 降伏法 — 悪人除去、魔障怨敵の摧破を祈る。調伏。
修法ごとに護摩を焚く炉の形や着衣の色などが異なります。ざっとまとめてみると、次のようになります。色や形や方角など、それぞれが最も効験があるものとされたものが伝えられています。
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昨年の夏が暑かったせいか、この冬は雪の日が多い。
降り積もった雪を左右にかき分けると、やがて地面が顔を出す。
この石段を上って、摩利支尊天に祈れば、みんな救われる。
こころをこめ、今日も雪をかき、護摩を焚く。
みんな、春を待ちわびている。
護摩の油煙で真っ黒になって、縒りが解け始めた 「壇線 」 をリニューアルしました。
「壇線」 とは、護摩壇の四隅に立つ四ケツと、「鳥居」と称する門柱にまとい巡らし、壇地の境界を限定し結界する「金剛線」です。五色の糸をよりあわせたもので、五仏五智をあらわします。これに三種類あって、金剛界の糸は白・青・黄・赤・黒の順によりあわせ、胎蔵 の糸は白・赤・黄・青・黒の順に次第し、不二の糸は白・黄・赤・青・黒の順となっています。いずれにせよ、金剛界、胎蔵、不二ともに白が第一で黒が最後です。
| 不二の糸 |
胎蔵の糸 |
金剛界の糸 |
| 白 |
白 |
白 |
| 黄 |
赤 |
青 |
| 赤 |
黄 |
黄 |
| 青 |
青 |
赤 |
| 黒 |
黒 |
黒 |
壇線の引き方には種々異説があるようですが、諸流とも道場の方角に関せず、艮(うしとら)の角から引き初め、次第に四方に引き回して、また艮の角に至って巻き納めます。
壇線に金剛界・胎蔵・不二とあるように、その引き様にも三つあるようです。
| 金剛界 |
四ケツに巻くとき、上へ巻く。 |
| 胎 蔵 |
上より下に巻く。 |
| 不 二 |
巽(タツミ)のケツを上転〈金剛界〉に、坤(ヒツジサル)を下転〈胎蔵〉に、
乾(イヌイ)を上転〈金剛界〉に、艮(ウシトラ)を下転〈胎蔵〉に引きます。「甲金乙胎」。 |
当山の護摩壇は、先例どおり胎蔵の糸 (胎線) を調達し、不二の引き様で引き回しました。
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年末恒例のすすはらいに多数ご奉仕いただき感謝申し上げます。
おかげさまで、天井から柱・壁・床まで美しく磨き上がりました。
この凛とした空気と黒光りする壁や柱の美しい佇まいは、ちょっとほかではみられません。
高野山御影堂内陣の雰囲気と大差はないと言っても過言ではありません。
ここに座るだけで心が洗われ、救われる、聖なる空間です。
日々の護摩供と檀信徒の信心がはぐくむ、たましいのふるさとです。
こんな寺院がまだあった..
新春一番護摩供は、除夜の鐘を合図に始まります。
お誘い合わせの上、どうぞおまいりください。
初詣は1月7日まで。

すすはらい
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